山河  
都留岩 加寿男
   ひなびた駅舎から 君ひとり 降りてきた 
   僕を見つけて照れたの 少し笑ったね 
   荷物を持とうか 一泊なのに 大きな荷物 
    
   田んぼを抜けて 山のほうへ一本道 
   真夏の日差しは強い 街なかと違って 
   風が吹くと それでも 涼しいね  
    
   初めての景色たちも よそよそしくない 
   ふと 懐かしささえ 感じるね 
   おかえりなさいと 言われているよう 
    
   どちらからともなく 手をつないでいる  
   見渡す限りに 誰もいないから いいね 
   君の額に汗 繋いだ手も汗ばんできた 
    
   うるさいほどの蝉の声 耳をすませば 
   小径とならんで流れる 川の流れも 
   僕たちに ささやきかけている 
    
   息がはずんで 汗をかいたら腰かけて 
   君は 爽やかな風の中に 緑の中に  
   この木陰に 溶け込んでいくようだ 
    
   アスファルトと鉄材 セメントと建材に 
   囲まれ それが普通になってるけど 
   僕たちは きっと ココから来たんだよ 
    
   そして いつかは 自分自身の旅を 
   終えて ココへ帰ってくることを 
   心の底で 切望しているはず 
    
   人影が無いから 深呼吸をすれば  
   見渡す限りの これら全てを  
   君と僕だけで 独占しているかのよう 
    
   思い切ってでかけて来て よかった 
   君の瞳の奥に 宿っていた影が 
   消え去って 生き生きと輝いてる 
    
   今夜は 降りしきるかのような 
   満天の星空を一緒に見よう そして  
   全宇宙と 一つになるかのように 


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