| ミラリン |
| 都留岩 加寿男 |
| 息をこらして炎を見つめていると |
| 白橙の甘く淡い蝋燭のゆらめきは |
| 気づかぬまま心の底に格納された |
| 原始の記憶を よび醒ましはじめ |
| 厳重に封印された 禁断の契約を |
| 後悔しないと誓う者の耳元に教え |
| 一字一句を 唇がなぞり終わると |
| 感謝の涙が開放と昇華の扉を開く |
| 時空を溶かしながら 亡霊が蘇り |
| ぬめなまめく感触で 真理を説く |
| 二本の指の腹がはっきり記憶した |
| 悩ましい天床の位置をたどる時 |
| 未開で未踏の 精神空間の壁画が |
| 選ばれし者の 網膜に念写されて |
| 一瞬の閃光で数千の疑問と矛盾が |
| 並べ替えられ 普遍の回答を得る |
| 碁盤の目に広がる白い舗装の街で |
| 突然 僕の左手が君の右手になり |
| 君に触れるたびに僕にたどり着く |
| その手で門扉を開き街並みを抜け |
| うずまく星雲の 真芯に飛び込み |
| なぜ 僕が君で 君が僕なのかと |
| 呪文の様に 繰返し繰返し呟いて |
| 星雲の出口を探す旅を始めたなら |
| 鏡に悪戯心を秘めた君の瞳が映り |
| 青白い炎がめらめらと燃え上がる |
| たくらみの全体が見えて僕は問う |
| これは 君の瞳なの 僕の瞳なの |